大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和32年(オ)877号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人星野民雄の上告理由第一点について。

しかし所論は原審がその裁量権の範囲内で適法にした証拠の取捨判断および事実認定の非難を出でないものであるから採用しがたい。

同第二点について。

しかし本件のような場合において、被害者の過失を斟酌すると否とは裁判所の自由裁量に属することであるばかりではなく、原審は被害者である被上告人に過失があつたことを認定してはいないのであるから本件賠償額の算定につき所論の事実を斟酌しなかつたからといつて所論の違法があるとはいえない。

同第三点について。

所論は違憲をいうが、その実質は原審が適法にした事実認定を争うか、もしくはそれを前提として原審のした正当な判断を非難するに帰するから採るを得ない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 高木常七 裁判官 斉藤悠輔 裁判官 入江俊郎 裁判官 下飯坂潤夫)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例